No.070
件
KUDAN


瓦版「件と云獣」(丹後国・倉橋山)
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
牛の体に人の顔をもつ、ふしぎな牛の子です。ある日、村のふつうの牛が子を産むと、その子は人の顔をしていた。子牛は生まれてすぐに人の言葉で先のことを告げ、数日のうちに死んでしまう――そんな話が伝わっています。告げる内容は、豊作のこと、はやり病のこと、世の中の大きなできごとなどさまざまで、件の予言は外れることがない、と語られてきました。
江戸時代の終わりごろには、どこそこで件が生まれたといううわさが、瓦版などの刷り物になって出回りました。そうした刷り物には、件の絵姿を家に貼っておくと災いをまぬがれる、といった文句が添えられたものもあったといわれています。生まれた場所として書かれた土地は刷り物ごとにちがい、どこか一か所の妖怪というより、うわさとともに各地にあらわれた妖怪です。