No.057
人魚
NINGYO


『今昔百鬼拾遺』より「人魚」
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
西洋の人魚といえば、上半身が美しい娘で、下半身が魚。けれど日本の古い言い伝えや絵では、人魚はもっとふしぎな姿で語られてきました。魚の体に人の顔がついていたり、その顔のまわりに長い髪がはえていたり。そんな生き物が漁師の網にかかった、浜に打ち上げられた、という話が各地に残っています。
人魚が姿を見せるのは、よくないことが起こる前ぶれだと考えられることもありました。その一方で、人魚の肉を食べると歳をとらずに長生きできるともいわれ、若狭(いまの福井県)には、人魚の肉を食べて八百年生きた尼・八百比丘尼の伝説が伝わっています。おそろしいのか、ありがたいのか。日本の人魚は、どちらともつかない、ふしぎな生き物なのです。