No.044
見越し入道
MIKOSHI-NYUDO


『画図百鬼夜行』より「見越」
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
夜道や坂道で、目の前に坊主がひとり立っている。何だろうと見上げると、相手は見上げるほどにぐんぐん背が伸びて、首をそらしてもてっぺんが見えないほどの大入道になってしまう――見越し入道は、そんなふうに語られる妖怪です。見上げつづけているうちに、後ろへひっくり返ってしまうという話も残っています。けれど、あわてずに「見越した」「見抜いたぞ」と声をかけると、すっと消えてしまうと各地で言い伝えられています。
正体は、狸や狐、いたちなどが化けたものだ、という話が多く聞かれます。江戸時代には鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にもその姿が描かれ、草双紙と呼ばれる絵入りの読み物では、化け物たちの親分のような役まわりでたびたび登場しました。こわいけれど、正体を見抜かれると消えてしまう。人と化け物の知恵くらべのような面白さをもった妖怪です。