No.061
不知火
SHIRANUI


『今昔画図続百鬼』より「不知火」
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◆ でんしょう
熊本県の八代海で、夜の沖合に現れるといわれるふしぎな火。はじめは一つか二つの小さな灯りが、やがて左右に分かれては増え、海の上に横一列にずらりと並んでゆらめくと伝えられています。旧暦八月一日ごろ、「八朔(はっさく)」の夜更けによく見えるといわれ、近づこうとしても火は遠のいてしまう。だれが灯したのかだれにもわからないので「知らぬ火」、それが名前の由来だという話が残っています。
いまでは、沖の漁火(いさりび)の光が、冷えた海面近くの空気と、その上のあたたかい空気の境目で曲げられ、分かれたりのびたりして見える、蜃気楼の一種だと説明されることが多くなりました。正体に説明がついても、暗い海の上に並んでゆれる火の列は、昔から人々を浜辺へと誘ってきた、夜の海の名物です。