No.065
覚
SATORI


『今昔画図続百鬼』より「覚」
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◆ でんしょう
深い山の中に現れるといわれる、猿のような姿の妖怪です。体は長い毛におおわれ、人の言葉を話し、なにより人の心の中をすっかり読んでしまうといいます。山小屋でたき火にあたっていると、ふらりと現れて「いま、こわいと思ったな」「つかまえてやろうと思ったな」と、思ったそばから言い当てていく。逃げようとしても追い払おうとしても、その考えまで先回りされてしまうのです。
そんな覚が、最後には逃げていく昔話が各地に残っています。もう相手にするのはやめようと、黙って仕事を続けていると、たき火の木がはぜたり、割っていた木のかけらが飛んだりして、たまたま覚に当たります。だれも思っていなかったことが起きたので、さすがの覚も読めなかった。「人間は、思ってもいないことをするからおそろしい」と言って、覚は山の奥へ逃げていった――という話です。