No.022
九尾の狐
KYUBI NO KITSUNE


「白面金毛九尾之妖狐」(メトロポリタン美術館蔵)
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
九本の尾をもつ、狐の大妖怪。狐は年を重ねるほど神通力を増し、尾の数も増えていくと考えられてきました。九尾の狐は、その行きついた先の姿です。もとは古い中国の書物に登場する霊獣で、世の中がよく治まるめでたいしるしとされることもあれば、国を傾ける妖しい獣として語られることもありました。
日本でとくに有名なのは、平安時代の終わりに鳥羽上皇の御所に現れたという美女「玉藻前」の正体としての九尾の狐です。江戸時代の読本などでは、この狐がインドや中国の王朝もつぎつぎに惑わせたのち、海を渡って日本へやって来た――という壮大な筋立てに広がりました。三つの国をまたにかけた大悪役として、九尾の狐は日本の狐の妖怪のなかでも、いちばんの大物になったのです。