No.058
船幽霊
FUNAYUREI


『絵本百物語』より「船幽霊」
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
海で命を落とした人の霊が、仲間をふやそうとして船をおそう――そう語られてきた海の妖怪です。夜の沖や霧の深い晩、お盆のころなどに、海の中から白い手がいくつもあらわれ、「柄杓を貸せ」と声をかけてくるといわれています。言われるままに柄杓を渡すと、それで海の水をどんどんくみ入れ、船を沈めてしまうのだそうです。
そこで船乗りたちは、底を抜いた柄杓を渡すとよい、と言い伝えてきました。底がなければ、いくらくんでも水は入りません。船幽霊は船の姿であらわれることもあり、ぶつかりそうになっても、よけずにまっすぐ進むと、すっと消えてしまうという話も残っています。土地によって呼び名もさまざまで、西日本には「アヤカシ」と呼ぶところもあります。