No.063
山彦
YAMABIKO


『画図百鬼夜行』より「幽谷響(やまびこ)」
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◆ でんしょう
山や谷に向かって「おーい」と呼ぶと、少し遅れて、同じ声が向こうから返ってくる。山彦は、この声を返しているのは山にすむ何者かだ、と考えた昔の人々が語り伝えてきた妖怪です。呼べば呼び返し、笑えば笑い返す。けれど、声のするほうをいくらさがしても、その姿は見つからないといわれています。
声だけの妖怪ですが、江戸時代の絵師・鳥山石燕は、岩場にいる小さな獣のような姿で山彦を描きました。地方によっては、山の神さまが答えているのだとも、口まねの好きなものが山にひそんでいるのだともいわれてきました。山の声に、だれかが応えている。山彦は、山とともに暮らした人々が抱いていた、山へのおそれと親しみから生まれた妖怪なのかもしれません。