No.034
鵺
NUE


『今昔画図続百鬼』より「鵺」
パブリックドメイン(Wikimedia Commons)
◆ でんしょう
『平家物語』に登場する、正体のわからない怪物。平安時代の終わりごろ、夜ごと黒い雲とともに御所の上に現れ、天皇を苦しめたといわれています。弓の名手・源頼政が矢で射落としてみると、頭は猿、胴は狸、手足は虎、尾は蛇という、いくつもの獣を継ぎ合わせたような姿をしていた、と語られています。どの獣のどこが組み合わさっているかは、書物によって少しずつちがいます。
じつは「鵺(ぬえ)」は、もともと鳥の名前です。夜の森でヒョー、ヒョーとさびしげに鳴く鳥で、いまのトラツグミのことだと考えられています。『平家物語』では、この怪物の鳴き声が鵺に似ていた、と書かれています。声だけが聞こえて姿の見えない夜の鳥の名前が、やがて得体の知れない怪物そのものの名前として呼ばれるようになっていきました。