No.12
一本だたら
IPPON-DATARA

◆ でんしょう
熊野の山奥、伯母峰峠に伝わる一本足の妖怪。雪の日の山道に、ぽつり、ぽつりと一本足の足跡だけが続いていた——そんな目撃談が語られてきました。
ふしぎなのは、この妖怪が現れるのが年にたった一日、12月20日だけだということ。この日は「果ての二十日」と呼ばれる厄日で、昔の人はけっして峠を越えませんでした。裏を返せば、それ以外の364日は何もしない。一年にいちどの出番のために山にひそんでいる、なんとも律儀な妖怪です。鍛冶場で片足を痛めた「たたら師」の姿が由来ではないか、という説もあります。